断熱改修 やってはならないこと!
全国の建築関係の学識者27人と医療・福祉関係の学識者57人を委員とする「スマートウェルネス住宅推進調査委員会」が、住生活空間の断熱性向上などの省エネ化による居住者の健康状況に与える効果について検証作業を進めていると、専門誌が伝えている。
断熱性能を高めると、居住者の血圧上昇量が減ることが検証されたという。
寒さで縮かんでいた体が、暖かさにホッとするのだから血圧も下がって当然だろう。
専門家・学識者の意見を聞くまでもなく、5℃以上の温度差が健康に与えるリスクについては、誰もが常識的に知っていると思う。
医学的に分からなくても、肌で感じる温度差は不快である。
そこで、家全体を改修したのでは費用が大変だと部分改修を勧める業者が増えているという。
これはやるべきではない。
なぜなら、温度差・快適差が拡大してしまう。5℃以上の温度差は、命に影響しかねない。
前述の検証では、断熱改修した後の方が室温が低下したという例もあったという。そのわけは、断熱改修したのだから暖かくなったという思い込みで暖房費を節約したからだそうだ。
もともと、我慢の「小エネ」を美徳とする生活習慣が常態化しているところに、「断熱性能を高めると、居住者の血圧上昇量が減ることが検証された」などという専門家の調査結果を営業トークにして、部分断熱改修を図るからこんな笑い話が生まれてしまう。
断熱は気密と一対のものであり、換気と冷暖房の方法との組み合わせによって健康維持・増進効果が期待できるものであることを、専門家・学識者は啓蒙すべきだ。
- 新しい家のカタチ
- 「丁寧な仕事に敬意を払う文化」を破壊する人たち
- 純米酒と父と母
- 心の涙で泣く人間
- からだで感じ、からだで考えるならば
- ロボットが造る家
- 妻が喜ぶ家を
- 自足できる家
- 工務店にしか造れない家
- 91歳で建て替える
- ある精神科医の話
- 住み心地は百薬の長
- 色のある屋根
- 「明るくて広い部屋」
- 住み心地の保証
- 税金は軽くなるとしても
- 松井 修三 プロフィール
- 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
- 1961年中央大学法律学科卒。
- 1972年マツミハウジング株式会社創業。
- 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
- 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
- 現在マツミハウジング(株)相談役
- 著書新「いい家」が欲しい。(創英社/三省堂書店)「涼温な家」(創英社/三省堂書店)「家に何を求めるのか」(創英社/三省堂書店)