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松井修三の「思ったこと、感じたこと」

予防医療に注目!

「ホリエモン」こと、堀江貴文さんはライブドアを舞台に世間の耳目を集めた人であることはよく知られている。

出所以来、数多くの本を出版しているが、「むだ死にしない技術」(マガジンハウス/1200円)は、表紙の顔写真とタイトルに幻惑されて読みたくないと思う人もいることだろうが、一読されることをお薦めしたい。


氏は、「予防医療普及協会」を立ち上げた。

その趣旨は、

<望めば世界中の情報が手元で入手できる時代にもかかわらず、知らなかったばかりに助かる病気で死ぬなんて、アホらしい。知識がなければ、「むだ死に」する現実をもっと広く知らせるべきだと僕は思った。

そこで、僕たちはこれからの時代、病気は治療よりも「予防」に力を注いでいくべきだという「予防医療」の考え方を、世間に知らせるための活動をはじめることにした。>とのこと。


氏は、家との関連性については触れていないが、予防医療の目的は、健康維持・増進にあるとの認識は一致しているに違いない。そのために「住み心地」がいかに大事なのか、いつの日かマンション暮らしから戸建てに住むようになると、氏も痛感されることだろう。


それはさておくとして、家づくりに携わる者は、家づくりは予防医療の一環であるという確固たる認識を持たねばならない。

医療費が40兆円を超え、国家予算の半分にも迫ろうとしていることを思えば、待ったなしで、真っ先に取り組むべきテーマである。

しかし、住宅業界は違う。

2030年にゼロエネ住宅を標準化することに躍起になっている。

旗振り役の経済産業省は、そのために補助金を振りまくだけではなく、計算上ゼロエネを達成しやすいようにと、ルームエアコンを用いて、人がいる部屋だけの局所・間欠冷暖房を推奨している。

暖かくなり、涼しくなればいいと。

健康にとって大事なことは、空気が気持ちいいことだ。それには、24時間、家中を機械換気することが絶対条件となる。

その上で、家中から温度差をなくし、快適差をなくす。ワンフレーズで言うなら「換気が主、冷暖は従」である。

お役人たちの頭には、省エネだけがあって、予防医療という考えは毛頭ないようだ。

これでは、医療費の増大に歯止めがかかるわけがない。

「ホリエモン」などと軽く見ないで、耳を傾けるといい。刑務所の中で穿った思索の泉は、深くてユニークだ。

松井修三プロフィール
  • 松井 修三 プロフィール
  • 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
  • 1961年中央大学法律学科卒。
  • 1972年マツミハウジング株式会社創業。
  • 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
  • 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
  • 現在マツミハウジング(株)相談役
  • 著書新「いい家」が欲しい。(創英社/三省堂書店)「涼温な家」(創英社/三省堂書店)「家に何を求めるのか」(創英社/三省堂書店)