ある精神科医の話
「涼温な家」にお住いの精神科のお医者さんから聞いた話では、眠れない悩みを抱えている人が増え続けているという。
人生の三分の一の時間は眠るために費やされることを思えば、悩みは深刻だ。
先生は、こんな話を聞かせてくださった。
「ああ、生きてきてよかったと思える人生は、考えてみますと、よく眠れた人生なのではないでしょうか。おいしく食事がとれて、思う存分に仕事ができ、ぐっすり眠れて、何事にも感謝できる人生は最高です。
この家に住むと、つくづくそう思わされます。
『いい家』を建てると、三つ得することがあります。
一つは、住み心地を味わうという喜びが得られることです。二つは、老後頼れる一番確かなものを手に入れたという安心感です。三つ目、これがきっと一番得することだと思っているのですが、お金ではなく『いい家』を残せば、子供と孫に感謝されて引き継がれるだろうということです。
家は、そこに住む人の生き様を語るものだと思います。価値観、センス、性格までも語ってしまうのです。いずれ子供は、この家を引き継いだときに、きっと、両親の価値観やセンスを知って納得してくれることでしょう」。
私はお話にすっかり感心し、先生に今度勉強会で話していただきたいと頼んでみた。すると、先生は笑って言われた。
「このような話は、みんな松井さんの勉強会で学んだことですよ」
「いや、感激しました」
私は、素直に感心して言った。
そういう私は、<『いい家』が欲しい。>を書いてる最中から不眠に悩まされるようになった。夜中に、書きたいことが思い浮かぶと、はね起きてデスクに向かう。その繰り返しを続けているうちに、不眠症になった。
夜中に目が覚めるたびに、私は神様に感謝した。
「今夜もすばらしい1ページが書けました」と。
- 新しい家のカタチ
- 「丁寧な仕事に敬意を払う文化」を破壊する人たち
- 純米酒と父と母
- 心の涙で泣く人間
- からだで感じ、からだで考えるならば
- ロボットが造る家
- 妻が喜ぶ家を
- 自足できる家
- 工務店にしか造れない家
- 91歳で建て替える
- ある精神科医の話
- 住み心地は百薬の長
- 色のある屋根
- 「明るくて広い部屋」
- 住み心地の保証
- 税金は軽くなるとしても
- 松井 修三 プロフィール
- 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
- 1961年中央大学法律学科卒。
- 1972年マツミハウジング株式会社創業。
- 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
- 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
- 現在マツミハウジング(株)相談役
- 著書新「いい家」が欲しい。(創英社/三省堂書店)「涼温な家」(創英社/三省堂書店)「家に何を求めるのか」(創英社/三省堂書店)