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2007年11月28日
200年住宅実現のための3つの課題
「200年住宅」とは、定期的にメンテナンス、改修を繰り返せば200年はもつ基本性能を有しており、それを200年持たせるシステムを指す言葉である。何もせずに200年間腐朽しない住宅を指しているのではない。
「そんな住宅なら、とっくの昔からつくっているよ」と胸を張る工務店は多いが、肝心のユーザー側の意識はどうなのであろうか。200年住宅を建てた後のことをシュミレーションしてみると、3つの点が不安だ。
まず、一つ目は将来のメンテ費の負担である。その予算を確保できなければ結局メンテナンスをしないで放置され、優れた基本性能が生かされないまま朽ちていくことになる。工務店に依頼されたFPも将来のメンテ費用まで詳細に提案しているケースは少ない。それをするとお客様が逃げるからである。
2つ目は、適正な価格で取引される中古住宅市場の整備だ。同じ家に200年以上住み継いでいく人ばかりではなく、子供の独立や老後の家庭環境などで、それまでの住宅を手放すケースは多々あり、そのときまでに繰り返されたメンテナンスによって新築同様の資産価値を有し、それなりの値段で売れるという希望が確保されなければ200年住宅建設のモチベーションも低下する。
3つ目は、200年住宅をとりまく環境である。良い家でもそのまわりがどのような環境にあるかで、その評価はがらりと変わる。40年前の住宅の取得条件は、家の性能よりも通勤に便利などの立地や価格が優先していたが、それは今でも大きな要素であることに変わりはない。
こうした点について行政はいかに認識しているのか。200年住宅がほしくなる施策も同時に打ち出さなければ「笛吹けど踊らず」ということになってしまうのか。ちょっと心配だ。
日本住宅新聞 2007.11.25より