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2007年1月26日
60歳代は建替え適齢期 経済的見通しあり有利 40歳代から主役の座交替 積水化学工業 10年前と現在の動向を比較調査 住環境研究所
積水化学工業住宅カンパニーの調査研究機関である住環境研究所(白崎明所長)はこのほど、「建替え実態調査」を実施し、公表した。1996年の同調査と比較することで、10年前と現在の建て替えの実態と住意識の変化を捉えている。それによると、10年前は「子どもや親のため」の建て替えであったが、現在は「自分のため」に意識が変化していることがわかった。また、建て替えの”主役”が10年前の40歳代から、現在は60歳代になっていることも判明した。調査結果を通じて、同研究所では「経済的見通しがついている上、夫婦2人暮らしをエンジョイできる、老後の安心が確保できる点で、『60歳代は建て替え適齢期』」と結論づけている。
インターネットによるサンプリング調査を実施。全国の40歳以上の男女1200人(5年以内建て替え実施層600、建て替え検討層600)が対象となった。
まず、10年前との比較を実施。住宅の規模では、旧住宅と新居の延べ床面積が「減少」したという回答が33.5%(10年前13.5%)に増加。同じく、部屋数も「減少」が50.7%(27.0%)に拡大していた。建て替え後の家族構成も「夫婦のみ」が23.0%(8.7%)となっている。特に60歳以上の建て替えは、10年前には「子世帯同居」が最も多かったのに対し、現在では「夫婦のみ」が最も多い。
自分たちのために
建て替え理由をみると、「同居」「子どものため」が減少し、「老朽化改善」「老後準備」が増加した。特に50歳代は「老朽化改善」が急増しており、さらに60歳以上では「2世帯同居」が激減し、「老朽化改善」「老後準備」が中心となっていた。「誰のための建て替えか」という問いに全体では「自分たち夫婦のため」と答えた層が66.5%になっている。
次に年代別の特徴を分析。建て替え理由では、設備や間取りの旧式化、地震時などの安全不安など「住性能面・構造面の改善」が全体で大きな要素となった。
60歳では、ほかに「老後の体の衰えをカバー」といった老後対応も多い。40歳代女性、60歳代男性では「自分の好みの家にしたい」という理由も上位。加えて、60歳代は、老朽化不満など顕在理由がなくても立て替える、「潜在的立て替え層」が多いとも分析している。
建て替えのタイミングでは、40歳代は金利やローン年齢、60歳代では定年と「気力体力面での年齢」が上位。一方、50歳代は「住まいの補修や設備交換などの必要に応じて」が最も多く、他の年代に比べライフイベントや年齢的なタイミングに乏しいという結果だ。また、50歳代は「子ども(の将来)がはっきりしないなどで、建て替えを先送りしている様子もうかがえた。
費用面では、50歳代の41%はローンなし、2千万円以上のローンが2割弱と額が最も少ない。「40歳代は十分ローン可能な時期で、60歳代も退職金や老後の生活費のめどがつく頃だが、50歳代はさきのことがままならず資金計画が最も難しい時期と考えられる」と分析している。
困難な環境の50歳代
調査の総括として、(1)40歳代はボリュームは少ないものの、「自分のための建て替え」ができる世代(2)50歳代は建物の老朽化で必要に迫られて建て替えで、価格にシビアな世代(3)60歳代は「老後に自分たちが楽しめる、安心できる住まいに立て替える」建て替え適齢期の世代−と特徴づけている。
〔住宅産業新聞〕 2007年(平成19年)1月17日