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2006年10月15日

建築物の総合環境 評価品質と負荷バランス

 自動車を購入する時には、デザイン、価格、馬力などを比較する。最近はガソリン価格も高くなり、燃費のよさも必須だ。車にとって環境性能は重要な検討項目になっている。

 それでは、住宅を購入あるいは建設する時はどうだろうか。駅から近いこと、広いこと、価格など様々なことを考える。しかし、住宅の環境性能はなかなかわかりにくい。住宅は生涯に何度も購入する機会は少ない。従って、住み始めてから省エネなどの性能が分かっても遅いのである。

 最近、建物に関して欧米でも環境性能評価システムが急速に普及している。そのような中で日本において開発されたのが建築物総合環境評価(CASBEE)である。すでに名古屋、大阪、横浜、京都で実施され、多くの自治体でも採用の動きがある。将来は、有名なレストランガイドのように、ビルの環境性能によるランキングが出来そうである。

 このCASBEEに、毎年約五十万戸建設されている戸建住宅に関する評価システムが仲間入りする予定だ。試行版が建築環境・省エネルギー機構から公開されている。

 室内環境を「快適・健康・安心」「長く使い続ける」「まちなみ・生態系を豊かにする」の3分野から環境品質・性能(Q)が高いことを評価する。また「エネルギーと水を大切に使いゴミを減らす」「地域環境に配慮する」という3分野から環境負荷(L)を低減する取り組みを評価する。

 これら6分野の52項目について5点満点で採点し、品質(Q)を環境負荷(L)で割ることで最終的な得点が得られる。健康や安心をないがしろにしては、いくら環境負荷が低減されても全体の評価は駄目になる仕組みだ。そもそも良い住宅としてのバランスが悪ければ資産価値も低くなるし、長持ちしない。

 日本の産業部門の二酸化炭素排出量は2010年には、1990年に比較して5%減を達成する見込みだが、家庭部門は逆に20%も増加すると予想されている。住宅にも環境性能が大切な時代になっている。

(早稲田大学教授 田辺 新一)


日本経済新聞より

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