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2005年12月11日

国交省・住宅政策を量から質へ転換

 来年度から国土交通省は、住宅の大量供給政策を転換することとなり、住宅難を解消するため、約40年間にわたり住宅建設戸数の目標を定めてきた「住宅建設5ヵ年計画」を廃止し、郊外団地の新規開発への補助金などを取りやめることとなった。従前の政策は大規模団地の開発などを促してきたが、持ち家の床面積が広がり、少子高齢化で世帯数の伸びが鈍ることから見直しが必要になったもので、来年度以降は、耐震化やバリアフリー化などの達成目標を定め、住宅の改良を中心に従来の「量」から「質」重視の政策に切り替えることとなったものである。

 国が5年ごとに全国の住宅建設戸数の計画を立てる5ヵ年計画は住宅建設計画法に基づき、高度経済成長期の66年に始まったが、地方自治体による公営住宅の建設を進めるほか、民間の大規模な住宅団地やマンション開発への補助や周辺整備を行ってきた。

 今年度で8期目の期間が終わるが、これまでの8期40年間で約6千万戸の建設を計画し、昨年3月までに約5500万戸が建設された。

 住宅戸数は70年前後から世帯数を上回り、03年には世帯数より約660万戸も多く、その大半は空き家や別荘などとなっている。国交省はより広い住宅の普及には5ヵ年計画が必要としてきたが、持ち家の床面積は広がっており、その必要性も薄れてきており、また、少子高齢化で、世帯数も2015年をピークに減ると予測されている。

 国交省はこのため、住宅の大量供給政策は役割を終えたと判断し、5ヵ年計画を今年度で終え、建設計画は公営など公的資金が入る住宅に限って続けることとしている。

 また、これに合わせ、バブル経済による地価高騰で都市部の住宅事情が悪化したことから、90年代から約700万戸、約4万3千ヘクタールの住宅地造成を従来目指してきた大都市圏の住宅供給目標も来年度から廃止することとしている。

 他方、国交省の推計では、全国の約4700万世帯のうち4分の1は、大規模地震の時の耐震性が不十分とされており、また高齢者らが暮らしやすいように、手すりの設置、段差の解消、廊下幅の確保といったバリアフリー化が十分な住宅は約3%しかない状況となっている。

 国交省はこうした現状を踏まえ、来年の通常国会に住宅基本法案を提出し、来年度から量の拡大に代わり、耐震化率やバリアフリー化率、省エネ化率など「質」に政策を転換することとして、10年程度の長期目標を策定し、5年ごとに見直すこととしている。

 また今後、政策対象も新築から既存の住宅の改良に移し、耐震化の補助拡大や密集市街地の整備支援、公共賃貸住宅のバリアフリー化などのほか、良質の住宅を造るための評価基準を作成して行くこととしている。


住と建築 2005.12 より

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