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2005年9月26日
悪臭判定、機械より人 「鼻測定」急増
90年代後半から苦情が急増している悪臭対策として、人の嗅覚で測定するシステムを導入する自治体が急増している。00年度までは3自治体だったが、ここ数年は「倍増ペース」で増え昨年度は270に達した。これまで、機械で特定物質の成分を調べていたが、様々な物質が混じり合う複合臭による都市・生活型悪臭が目立ち始めたことが背景にある。環境省は自治体に対する講習会や悪臭対策の調査を来年度に実施し、このシステムをさらに広める方針だ。(渡辺翔太郎)
このシステムは「臭気指数規制」と呼ばれ、国家資格を持つ臭気判定士が6人以上の一般の人を使い、悪臭に当たるかどうか判定。においが一定の基準を超え、住民の生活環境が損なわれていると市町村長が認めた場合、悪臭防止法による改善勧告などが行われる。
これまで、悪臭の原因は工場や畜産農家が中心で、アンモニアなど22の特定物質を機械で測定することで対応してきた。
ところが90年代後半から、飲食店など身の回りから応じる悪臭への苦情が増加。03年度には全国の悪臭苦情が約2万5千件に達し、過去最高を記録した。物質ごとの規制では追いつかなくなったため、人の鼻を利用するシステムを導入。約40万種あるとされる「においのもと」に対応できる制度を使っての規制に乗り出した。
同省によると00年度までの時点で、この制度を導入していたのは、規制地域を有する約1750自治体のうち、茨城県下館市(現筑西市)、札幌市などわずか3自治体。ところが02年度は東京都内の区市町村などが加わり67、03年度は127、昨年度は千葉県習志野市、市原市の一部地域でも導入が決まり、計270と急増したという。立ち入り検査の件数も、93年度は約3900件だったのが、03年度は約7700件になった。
しかし、事業所が排出する臭気以外に、環境中に悪臭があると対象の臭気だけを検出できないケースや、規制基準内であっても頻繁に悪臭が排出されて住民の苦情につながるといった問題も指摘されている。
掲載:朝日新聞(夕刊) 2005年9月26日