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2005年9月25日
四季の息吹〜台風〜 危険な襲来期、再び
米国でハリケーンが猛威を振るい、「カトリーナ」の暴風と高潮で死者千人を超す被害が出たが、日本では1959年、伊勢湾台風による4m近い高潮などで、死者・行方不明者が5千人以上に達した。前年の同じ9月26日には、伊豆半島に上陸し、死者・行方不明者が1000人を超えた狩野川台風が首都を直撃した。
東京都心では一日の雨量が観測史上最大の392mmの豪雨となり、皇居のお濠があふれ中小河川は軒並み氾濫、海抜ゼロメートル地帯は3mの浸水となり「首都水没」という歴史的な豪雨になった。海上では中心気圧877ヘクトパスカルを記録。カトリーナを上回る強さだった。
台風やハリケーンが、最近15年で凶暴化しているとの調査が出てきた。日本の戦後60年間を振り返ってみると、1950年から60年代初めまでの11年間に伊勢湾台風や関西を直撃した第二室戸台風など世界最強クラスの猛烈台風が相次いで日本に上陸。年平均で1000人規模の死者が出た魔の襲来期であった。
しかし不思議なことにその後、80年代末まで穏やかな時代が30年近く続いた。防災対策が功を奏したことと、猛烈台風そのものが日本列島にほとんど上陸しなかったからである。日本の高度成長期にも重なり、バブルに踊った時代までの平穏な時期が続いた。
そしてバブルがはじけた90年代に入って再び危険な時期が始まった。90年の19号台風に続いて91年の「りんご台風」が列島を蹂躙、保険金の支払いが5千億円を超した。九州不知火湾に伊勢湾台風以来の大きな高潮をもたらした99年の台風14号が84mの突風を吹かせ、04年の宮古島では74mの最大瞬間風速を記録した。
台風激動の平成時代は地球リズムなのか、それとも地球温暖化の影響なのか。26日は洞爺丸台風の日でもあり、大被害台風襲来の特異日である。
(気象業務支援センター 常務理事 村松 照男)
掲載:日本経済新聞(夕刊) 2005年9月24日