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2017年12月28日
動き出す、人生100年時代
人生100年時代は主に、平均寿命が延びる若者に対して語られている。従来型の勉学・就職・リタイアという3段階の人生ではなく、現在の若者からはマルチステージの人生になるとされている。とはいえ、この人生100年時代を最初に担っていくのはいまの50代以上、すなわち「50+」の世代である。
既に成人人口の半数以上が50代以上だ。40代以上に広げれば、大人の76%を占める。間近に迫る2020年には大人の10人に6人は50代以上、大人の10人に8人は40代以上となる。大人と言えば40代以上という想定外の社会が目の前である。必然的に「人生100年時代は50+が圧倒的多数の社会」となる。
その中でも早くもヒット商品が生まれている。その代表が「トンチン年金」と呼ばれる生涯保証保険。長生きするほど多額の年金を受け取れる仕組みで、100歳までの長生きリスクを保証する。日本生命の「グランエイジ」、第一生命の「ながいき物語」、太陽生命の「100歳時代年金」などがあり、いずれも好調とされる。
長生きリスクを健康面から支える商品・サービスも、続々と発売されている。「もの忘れ改善薬」や「視力改善サプリ」だ。健康関連施設では「メディカルフィットネス」などが挙げられる。
生活者の側にも70代女性の消費が活性化する動きが見られる。エコノミストの吉本佳生さんが家計調査年報から明らかにした消費動向で、L70(レディ70)と呼ばれる。これまで70代以上を対象にしたビジネスといえば介護しか語られなかったといっても過言ではないが、今や70代女性が旅行や美術館・博物館などへ出かけるようになった。
今後、団塊世代が70代になれば男性も従来の70代とは異なる消費に向かう可能性がある。介護だけにとどまらない人生100年時代の消費とビジネスがすでに動き出している。
2017年12月21日 日本経済新聞