ご存じですか？

2017年11月6日

本当にエコなの？ 電源構成に依存

　EVが次世代の自動車として注目されるのは、ガソリンや軽油を燃料とせず、二酸化炭素（CO2）排出量が小さいからだ。しかしその電気を何からつくっているかさかのぼれば、必ずしも環境に優しいとは限らない。
　経済産業省が燃料製造から自動車走行までのCO2排出を試算したところ、中国で今、EVを1km走らせると82gのCO2を排出する。電力の70%をCO2排出量の多い石炭による火力発電に頼っているためだ。ガソリンと電気で走るハイブリッド車（同69g）よりも負荷は大きい。
　中国も石炭依存を減らし2030年には51%になる見込みで、その場合は排出量は62gになる。日本の15年の発電は32%が石炭によるもので、CO2排出量は59g。ドイツは49gで、CO2を排出しない原子力発電が75%のフランスは5gだ。
　EV政策の推進は産業政策や大気汚染対策などさまざまな側面があるが、地球温暖化対策の観点でいえば、電源構成まで考える必要がある。慶応大の遠藤典子特任教授は日本のEV普及には「安くて環境負荷が小さく、安定的な原子力発電が現実的。エネルギー政策と合わせて考える必要がある」と話す。

　　　　　2017年11月6日　日本経済新聞