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2013年6月21日
自然エネ 立ち往生〜送電網に限界 売れない〜
新千歳空港にほど近い北海道安平町は酪農や競走馬の生産が盛んだ。昨年、町を流れる安平川のほとりにある約100ヘクタールの土地に太陽光パネルを敷きつめようという計画が持ち上がった。
だが、予定地は今も草がのび放題のまま。「4・17ショックと呼んでいる」。計画を立てたSBエナジー(東京)の藤井宏明副社長(43)は苦笑する。
今年4月17日、北海道電力は、2千キロワット(kW)以上を発電できる「メガソーラー」(大規模な太陽光発電)からは、全体で40万kWまでしか電気を買わないと発表した。申請は3月までに87件計156・8万kWあったが、7割を門前払いすることになる。
昨年7月、自然エネルギーの「固定価格買い取り制度」が始まり、電力会社は太陽光や風力で発電した電気を決まった価格で買うよう義務付けられた。これをてこに、当時の民主党政権は電力の1%台しかない自然エネを3割に引き上げる目標を立てていた。
だが、北海道電はこう説明した。「送電網の容量が限られ、天気によって発電量が大きく変わる太陽光発電を受け入れすぎると安定して電気を送れなくなる」
札幌市の不動産会社はメガソーラーのために2か所の土地を買っていたが、手放すことにした。社長は「自然エネバブルに踊ってしまった」と嘆く。
南は太陽光、北は風力に適している北海道。NPO法人、北海道グリーンファンドの鈴木亨理事長は「自然エネを増やす目標は、北海道なしでは成り立たない」と言う。
自然エネが直面する壁は、北海道に限った話ではない。
ソフトバンクの孫正義社長が寄付してつくった自然エネルギー財団が2月に全国調査したところ、1件でも太陽光発電を断念したことがある事業者は79社のうち34社にのぼった。その理由は「土地の調達」(45%)に次いで、北海道電のような「送電網への接続」(25%)が多かった。
2013年6月21日 朝日新聞