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2013年3月30日

太陽光の購入価格はまだ高い

 再生可能エネルギーでつくった電気を電力会社が購入する制度で、政府は太腸光発電の買い取り価格を4月から約1割下げることを決めた。
 買い取り費用は電気料金に上乗せされ、利用者が負担する。太陽光パネルの価格下落などを踏まえて、買い取り価格を下げるのは当然の措置といえる。
 だが、今回の下げ幅では不十分だ。太陽光の買い取り価格は当初の1キロ・ワット時あたり42円から38円になるが、風力の23円や地熱の27円に比べてまだ高すぎる。
 原則年1回の価格見直しも、必要なら半年で行える。政府は発電資材の価格動向などをにらみ、機動的に改定すべきである。
 買い取り制度は再生エネ普及が目的だ。太陽光や風力などの電気を10〜20年間にわたり一定価格で買い取ることで発電事業の収益安定を図る。その狙いはわかる。
 ただし、買い取り費用が利用者の負担でまかなわれることを忘れてはならない。価格を安易に高く設定すると、新規参入が過剰に促進され、買い取りコストが急上昇する恐れがある。
 実際に、買い取り制度で先行したドイツでは「太陽光バブル」といわれる参入ラッシュで電気料金が急騰し、間題になっている。
 ドイツの一般家庭で電気料金に上乗せされる金額は毎月2000円近い。買い取り単価を4年で6割も下げたのに、中国製パネルの廉売などで太陽光発電の採算ラインが下がったため、参入に歯止めがかからないという。
 日本の買い取り価格は、ドイツより2〜3倍も高い。制度全体の買い取り規模が小さいため、家庭の負担はまだ月100円ほどだが、油断は禁物である。
 買い取り単価が下がらないうちに政府の認定を受けようと、駆け込み的な太陽光発電所(メガソーラー)の申請も相次いでいる。
 買い取り対象となる発電所が急増する前に、価格を妥当な水準に下げておかないと、日本もドイツの二の舞いとなりかねない。
 書類の認定だけで価格を確定する仕組みも疑問だ。価格が高い間に認定を受け、太陽光パネルが値下がりしてから設備を作る動きが懸念される。運転開始時の価格を適用するよう改めてはどうか。
 中国のパネルメー力―が倒産するほど価格競争は激しいのに、日本の太陽光発電コスト低減への動きは鈍い。業者が高値での買い取り制度に甘え、安価な資材調達などのコスト削減努力をおろそかにしているのなら本末転倒だ。
            2013年3月30日 読売新聞 社説

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