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2012年4月5日
犬・猫が飼い主の健康に寄与
犬は約1万5千年前から狩猟犬や番犬として、猫は約5千年前からネズミ捕りをなりわいとして、我々とつきあってきました。遺跡などから解析されています。
けれども今は、ネズミ捕りや番犬としての仕事もあまりありません。そこで30年前ぐらい前、人と動物の関係学という学問が誕生しました。動物が人の健康にどういう働きをするかを研究します。
米国や豪州の研究者が、画期的な論文を発表しました。ペットを飼っている人の方が、そうでない人より、心臓疾患の退院後の生存率が高いというもの。65歳以上の高齢者のうち、犬を飼っている方のほうが病院へ行く回数が少ないというもの。犬や猫を初めて飼うと、頭痛などの日常的な健康問題が減るという結果も出ました。
体の中に変化も起きています。犬と散歩すると、一人で散歩するより副交感神経が活性化します。
私たちの研究では、母と子がいとおしみ合うのに重要な役割を果たすオキシトシンというホルモンに注目しました。人の尿に含まれるオキシトシンは、犬が飼い主を見つめる時間に比例して上がります。また、犬や猫を見たり触ったりすると、脳の血流が上がることも測定されました。
このように、犬や猫の特性が人の健康に大きな影響を与えることがわかりつつあります。犬はその忠実性や散歩の効果。猫は「ごろごろ」という鳴き声の周波数に癒し効果があるのではないか、と注目されています。
ただ、問題もあります。飼育数が減ってきています。高齢者が増え、医療費が増えています。ぜひ身近にいる犬や猫の存在を考え、大事に飼うと健康に良いということを知ってほしいです。(ライフ・シッポ・プロジェクト 2012シンポジウムより 麻布大学獣医学部教授 大田光明さん)
平成24年4月4日 朝日新聞(朝刊)