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2012年3月16日
気候変動、生物多様性も消失 ―今世紀末、気温3〜6度上昇―
経済協力開発機構(OECD)は15日、世界の長期的な環境変化を予測した「環境アウトルック2050」を公表した。経済規模の拡大に伴い、今世紀末の世界の平均気温は産業革命前と比べ3〜6度上昇すると予測。破壊的な気候変動に伴い、生物多様性も失われると警告した。
試算によると2050年のエネルギー消費量は現在から約80%増えるが、この時点でもエネルギーの85%は石油や石炭などの化石燃料に頼っている。このため二酸化炭素などの温暖化ガスの排出量は現在の1.5倍まで膨らみ、気温の上昇や異常気象の多発をもたらす。アジアや欧州、アフリカ南部などでは生物の絶滅が相次ぎ、生態系の変化が農村部に住む人々の生活を脅かすことになるという。
一方、都市部には世界の人口の約7割が集まり大気汚染や廃棄物などで生活環境が悪化する。粒子状物質(PM)による早期死亡者は現在の2倍になる。化学物質の規則の緩い途上国を中心に、有害物質による疾病が深刻化すると予測した。
こうした環境問題の解決は、早期に対策をとることが経済合理性にかなうとOECDは指摘。環境税や排出量取引、環境に有害な補助金の廃止など様々な政策を組み合わせ、環境保全と経済成長を両立させる「グリーン成長」を目指す必要があると提案した。 (パリ=古谷茂久)
平成24年3月16日 朝日新聞(朝刊)