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2011年11月7日
200万円の海外旅行・時計・数千万円の絵画 ―百貨店、高額品は好調―
東日本大震災や世界的な株安で、百貨店の売り上げが低迷する中、高額品が売れている。震災による自粛ムードの反動や、自分や親しい人のためにいいものを買いたいという心理があるようだ。
富裕層向けの旅行を販売する三越日本橋店の「旅のサロン」では6月以降、売り上げが前年と比べて「2けた伸びている」という。200万円台の海外旅行もよく売れる。
「年に何度も旅行をする人も、震災直後は控えていた。その反動で雪がとけるように戻ってきた」と担当者は話す。顧客は資産家や医師が多い。世界的な株安でも、すぐに消費を控えるほどの影響はないという。
日本百貨店協会のまとめでは、全国の百貨店の売上高は、震災後、6月以外は前年比マイナスが続く。その中で美術・宝飾・貴金属だけは、6月に4年4カ月ぶりにプラスに転じ、それ以降も堅調だ。
時計、アクセサリー、高級ブランドの服、数千万円の絵画などが売れている。松屋銀座の高級品販売催事では、9月に1日7億円を売り上げることもあった。
大丸松坂屋を傘下に置くJフロントリテイリングの奥田務会長は「お金を持っていることの不安から、換金的な要素もあるのかもしれない」と指摘する。
一方、数十万〜200万円台の時計なども売れている。「富裕層ほど所得が高くない人も、いいものを買っている。自分の生活を楽しもうと考えているのではないか」(奥田会長)
高島屋の鈴木弘治社長は「人と人との絆を求め、贈り物をする心理があるのでは」と話す。
百貨店側も機会を逃すまいと、贈り物が増える年末に向けて宝飾品の品ぞろえを充実させ、「絆」を強調した高額商品を準備している。 (高重治香)
平成23年11月7日 朝日新聞(朝刊)