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2011年10月10日
直管LED灯 過熱の恐れ ―蛍光灯と交換 配線工事が必要―
棒状の直管蛍光灯形をした発光ダイオード(LED)灯を、蛍光灯用の器具にそのまま取り付けると、過熱して火災を起こす恐れがあるとして、メーカーや業界団体が消費者に注意を呼びかけている。東日本大震災後に節電への関心が高まり、消費電力の少ないLED照明の需要は急速に伸びているが、専門業者が適切な配線工事をしないと危険があり、十分な節電効果も得られないという。
「蛍光灯と交換したら、パチパチと音がして取り付け部分が焦げた」「『長寿命』と表示してあったのに、半年で点滅し始めた」
国民生活センターでは、LED照明に関するこうした相談が急増している。照明器具に関する相談は、4月から9月末までで484件と、前年同期の2倍近い。同センターは「震災以降、節電効果が高いとしてLED照明が多く出回ったためではないか」とみている。
直管蛍光灯形のLED灯は、形の上からは同じ長さの蛍光灯器具にそのまま取り付けることができる。しかし蛍光灯は、点灯時に一時的に電圧を高めて放電する必要があるため、電圧を高めた上で電流を安定させる「安定器」が付いている。直管形は照明器具の本体側に安定器があるため、そのままLED灯を取り付けると、安定器で高められた電圧によって回路が破壊されて点灯しなくなったり、過熱したりする恐れがある。安定器が電力を消費するため節電効果も小さい。
電球形の場合は、蛍光灯の「球」側に安定器の役割を果たす電子回路が組み込まれているため、ソケットから外してLED灯に付け替えても問題ない。
直管蛍光灯をLED灯に交換する場合は、安定器を取り外すなど配線工事が必要だ。ところが、ホームセンターやインターネットの通信販売で購入した人が、そのまま交換している事例が多いとみられる。メーカーでつくる日本照明器具工業会は昨年7月に「(工事なしの交換は)推奨はできない」との文書を公表した。東京都も今年7月、LED照明の接続部が焦げるなどの実験結果を発表した。
LED照明を製造・販売するローム(京都市)は「説明不足の商品が出回り、LED照明全体が不信感を持たれ始めた」と話す。同社は、直管蛍光灯形のLED灯を一般の消費者に直接は販売せず、施工業者を紹介するなどの対応を取っているという。
大手メーカーによると、蛍光灯の寿命が約5000時間なのに対し、LEDは4万時間以上もある。消費電力も約3分の2と小さいため、今後5年間で急速に置き換わるとみられている。
平成23年10月8日 読売新聞(朝刊)