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2010年11月16日

解体現場 削られる安全 岐阜・高校生死亡事故1カ月

 岐阜市の解体工事現場で外壁が倒れ、女子高校生が死亡した事故から14日で1カ月を迎える。ある解体業関係者は「起こるべくして起きた」と話す。解体業者では、価格競争の末に安全性が犠牲になることが横行しているという。法のチェックを受けず、安全に必要な経費を減らした危険な現場は各地にあると指摘している (贄川俊)

価格競争の犠牲に

 事故は、工事の解体作業中、高さ約11メートルの外壁が長さ約18メートルにわたって倒れた。自転車で通りかかった岐阜県大垣市の高校2年川瀬友可里さん(17)が、下敷きとなった。
 県警によると、作業をした業者は、外壁が倒れないようにワイヤで支えたり、歩道に警備員を配置したりする安全策をしていなかった。また、鉄骨の解体に必要な資格者を現場に置かず、倒壊防止策を含む作業手順を定めた計画書も作っていなかったという。現在、業務上過失致死の疑いで解体業者を調べている。
 ある解体業関係者は「こうした工事は日常茶飯事だ」と指摘する。業界では、不況で減った解体工事の奪い合いが続く。価格競争が激しく、この5年で1坪(約3.3平方メートル)あたり約3万円だった工事費の相場は半額程度に下がったという。それが、安全に必要な経費にしわよせされた。
 厚生労働省安全課によると、全国で2005年〜09年に今回と同じように解体工事中の壁が倒壊し、少なくとも24人の作業員が壁の下敷きになって死亡した。
 なぜ、危険な工事現場が見過ごされているのか。
 労働基準監督署に届け出が必要なのは、労働安全衛生法で高さ31メートルを超える建築物の建設や解体工事とされる。それ以下なら届け出が不要で、何のチェックも受けないことも可能だ。元労働基準監督官で労働災害に詳しい安西愈弁護士は「解体してしまえばそれで完了。いかなる安全対策をとったかは問題とならず、『勝てば(事故が起こらなければ)官軍』というのが実態だ」と説明した。


2010年11月14日 朝日新聞

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