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2009年6月14日
長期優良住宅には「伝統的デザイン」が不可欠
6月4日より長期優良住宅促進法が施行されたが、その中身については「性能表示住宅とどう違うの?」という声が多く聞かれる。
住宅性能表示の基準を元に、認定条件を設定しているので、性能表示住宅そのものではないが、性能表示の仕組みを受け入れた住宅が増えることは間違いない。
しかし、弊紙には「長寿命住宅かどうかは住まい手が決めることであって、造り手が決めることではない。ましてや、お上なんぞが口出しすることではない」という読者がいるようで、こうした流れに対して、政府の施策に合致する住宅だけが良い住宅ではないとする声を寄せてくる。
わが国の住宅の寿命が25〜30年というのは間違いであって、減価償却法のモノサシを寿命にあてはめただけだ。30年目にヘロヘロになった倒壊寸前の危険家屋などめったにない。しかし、施主が30年で飽きてしまい解体すれば、100年住宅も30年住宅になる。
政府が長期優良住宅のモノサシを指定することに批判的な読者も、決して住宅性能表示制度を否定しているわけではない。「施主と工務店がお互い納得して取り入れるならばどんどんやれば良い」としている。
しかし、施主が残したいと思う長期優良住宅に不可欠な要素は、美しいデザインであり、飽きの来ない住み心地なのであるという。これは伝統という言葉に置き換えると分かりやすい。しかし、伝統という言葉はどうも古臭い、流行遅れ、時代遅れというイメージを連想させるようである。それは違う。「何百年にも亘ってみんなが良いと思い欲しがるから、今日まで価値が認められているもの」と定義され、既に高い評価が定まっているのである。長期優良住宅の定義や議論にはこの要素が必要不可欠であることを忘れてはいけない。
2009年6月5日 日本住宅新聞