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2009年5月15日
IH調理器 火使わないのに火災事故相次ぐ 2年で20件 半数は誤使用
火を使わないため安心なはずのIH(電磁誘導加熱)調理器で、火災事故が相次いでいる。経済産業省はメーカーなどに製品の重大事故報告を義務付けた2007年5月から約2年間で、20件を把握。このうち誤まった使い方が原因とみられる事故が半数の10件と多く、同省製品安全課は「じか火を使っていないからと油断しないで」と注意を呼びかけている。
神奈川県では09年3月、IH調理器を使って天ぷらを揚げていたところ、利用者がしばらく目を離した間に鍋の油が発火。消火しようとした際に手に軽いやけどを負い、つり棚の一部も焦げた。IH調理器の専用の鍋でなかったうえ、油の量が少なく、短時間で発火点(360度程度)に達してしまったことが原因とみられる。
経産省は、こうした誤使用とみられる10件の事故について、主な原因を4つに分類。「鍋が(IH調理器に)対応していない」が最多の8件で、「油量が少ない」が6件、「場を離れた」が4件、「モードの誤り」が3件、それぞれの事故で確認された。先の神奈川の事故はうち3つに該当するなど、8件で複数の要因が重なっていた。計2人が消火作業中に軽症を負った。
IH調理器は熱効率が良いため油の量が少ないと短時間で高温に達してしまう。底が平らになっていない鍋などは調理器のプレートとの間にすきまができ、温度センサーが高温を感知しなかったりすることもある。また、天ぷらや揚げ物の際に加熱モードのままで調理すると、温度が高くなり過ぎる恐れもあるという。
現段階で誤使用との判断がされていない事故10件は、内容物や湯が突然飛び散ったりした事例。詳細な原因は調査中となっている例もあるが、顔などに重症のやけどを負った2人を含め、6人がけがをしている。調理場周辺が火元となる火災が発生しているケースもある。
同省製品安全課は「原因の5割を占める誤使用の割合は、他の家電と比べても非常に高い。じか火ではないから火事にならないという油断を招きやすいが、操作の誤りが火事につながることがある。製品の特性に対する理解と正しい使い方への注意が必要だ」としている。
2009年5月14日 日本経済新聞夕刊