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2009年4月12日
外来シロアリ 各地で被害拡大 住宅内に散在、駆除難しく
外来種のシロアリ「アメリカカンザイシロアリ」による住宅の食害が日本で広がりつつある。在来種のヤマトシロアリなどと違い、建物の内部に散在するため駆除が困難で、近隣に被害が拡大しやすく、関係者は危機感を募らせている。
「日本しろあり対策協会」(本部・東京)によると、アメリカカンザイシロアリは北米大陸原産で、体長1センチ前後。国内では1976年、東京都内で発見されたのが最初とされる。その後は散発的に見つかる程度だったが、2000年以降に報告例が急増。08年末現在、被害が出たのは宮城から沖縄まで24都府県に上る。
このシロアリの駆除に携わっている同協会の南山和也理事(関東白蟻防除社長)は「駆除依頼が特に増えたのは05年ごろから。輸入された家具や建築資材を通じて入ったのでは」と語る。
在来種のヤマトシロアリやイエシロアリは湿気を好み、床下など建物の低い部分を集中的に食害するので、薬剤による駆除が比較的簡単だ。
一方、アメリカカンザイシロアリは乾燥に強く、えさとなる木材の中に分散しているため、発見も駆除も難しい。在来種に比べ繁殖力が弱く、被害の進行も遅いが、気付いたときには家全体に食害が及んでいて取り壊すことになったり、近隣の数十戸に被害が広がった例もある。
国土交通省は「現時点では情報を収集中で、行政としての対策は白紙」(建築指導課)という。
シロアリに詳しい京都大生存研究所の吉村剛准教授(林産科学)の話
アメリカカンザイシロアリが近隣に発生したら、木造住宅の場合、侵入を食い止めるのはほぼ不可能だ。自分の家だけ駆除しても、再び近隣から移ってきて被害に遭う例も多く、地域ぐるみで取り組まなければならない。今後は行政のサポートが必要になるだろう。
2009年4月12日 読売新聞朝刊