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2009年1月14日
短時間雨量、100年で1.5倍 東京都心、夏の午後 都市高温化影響か
今年、各地で被害をもたらした「ゲリラ豪雨」や夕立など短時間に降る雨の量は、東京都心(大手町)で夏の午後に限り過去100年で約50%増えていることが27日までに、気象庁気象研究所(茨城県つくば市)などの調査で分かった。ヒートアイランド現象の影響が大きいと分析している。
気象研の藤部文昭室長と東京管区気象台の研究チームは、梅雨などで長時間続く雨を排除するため、降り始め前の6時間に降水が1ミリ以上観測されなかったケースを「短時間降水」と定義。1890―2007年に都心で観測された短時間降水について、時間帯や季節ごとに降り方を分析した。
その結果、6―8月の午後5―11時の6時間に観測された短時間降水量の年平均は、1900年までは0.5ミリを超すことはまれだったが、40年代以降に2.0ミリを超す年が現れ、近年は3.0ミリ以上の年もあるなど、約100年で48%増えていることが判明。特に90年代以降は、急速な増加傾向という。
これ以外の季節や時間帯では、100年間の変化はほぼ10%未満。また過去30年の短時間降水について東京都心と千葉、神奈川両県の観測点を比較すると、都心は夏の夕方を中心に両県の観測点を30%以上も上回った。
ヒートアイランドの影響が最大になるのは夏の午後で、藤部室長は「都市熱で生じた上昇気流により雨雲ができ、短時間に大量の雨が降るケースが多くなるのではないか」としている。
▼ヒートアイランド現象
都市の気温分布を観測すると都心は高温で、郊外になるほど低い。地図に等温線を引くと都心が海上の島のように見えるため、ヒートアイランド(熱の島)現象と呼ばれる。 1)人工排熱 2)緑が多い地域は水分の蒸発が盛んで気温が下がるが、緑の少ない都心では起きにくい 3)舗装道路やコンクリートの建物に吸収された太陽熱が夜間放出される 4)ビルで涼しい海風が通りにくい ―― などが原因とされる。20世紀末までの100年間で世界の平均気温は0.6度上がったが、東京都心の上昇は2.9度に達した。
2008年12月27日 日本経済新聞 夕刊