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2008年6月30日

黄砂はカビや細菌運ぶ「箱船」 金沢大調査 健康等への影響懸念

 中国大陸から飛んでくる黄砂が、カビや細菌を運ぶ「微生物の箱船」になっている可能性があることが、金沢大の小林史尚准教授(環境生物工学)の研究グループによる分析でわかった。人の健康や生態系への影響が心配されるという。中国・ウルムチであった国際会議で発表した。
 台湾や韓国では、黄砂が多い時に心臓や肺の病気などで入院患者や死亡者が増えるという報告がある。鳥取大学も黄砂がぜんそく患者の症状を悪化させるという研究を発表している。黄砂の粒が細胞を刺激するほか、黄砂に含まれる化学物質や微生物がアレルギー反応を誘発するのではないかと考えられている。
 研究グループは、中国・敦煌や金沢市などで気球をあげ、上空の黄砂を採取。培養やDNA分析で、付着している微生物の種類を調べた。
 その結果、06年に敦煌上空50〜100メートルで、セレウス菌という食中毒菌の仲間をとらえ、07年8月には上空700メートルで黒カビやこうじ菌の一種を見つけた。同年4月には金沢大学(金沢市)の上空500メートルで通常は土壌内にいる放線菌の仲間を検出した。黄砂が観測された日に採取されたことから、中国大陸から渡ってきたとみている。
 研究グループの岩坂泰信・金沢大特任教授(大気物理学)は「微生物は紫外線や乾燥に弱いが、黄砂にくっついて守られ、大陸からたくさん運ばれて来るのかもしれない」と話している。(添田孝史)


2008年6月30日 朝日新聞より

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