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2005年9月6日

あすへの話題 ネット産業の競争力

 インターネットの検索サイトグーグル。昨年アメリカのナスダックに上場したばかりのこの会社の時価総額は実に九兆円に上る。この数字は驚いたことに、長い間アメリカ経済に君臨してきた自動車ビッグスリーの時価総額合計に匹敵する。
 この例が象徴するように、アメリカの産業構造はいまや製造業からIT・ネット産業に急激にシフトしているのである。日本の自動車がアメリカ市場でビッグスリーの座を脅かしていることはよく知られているが、アメリカ人からすれば「今さら自動車産業でアメリカ経済を引っ張っていくなどという発想は古いよ」と言われそうである。
 従って、日本の自動車がアメリカ市場でさらにシェアを拡大してもかつてのような通商摩擦はあり得ない。アメリカのネット産業と日本の製造業は今や適切な補充関係を形成しているのである。
 しかし、これで安心していてよいものだろうか。そうではない。ネット革命はようやくその緒に就いたばかりであって、これから本格的に大発展を遂げることは確実だからである。
 アメリカの強さはその「普遍主義」にある(本年七月四日の本欄)とすれば、ITやネット産業こそ、その普遍主義的発想が最も求められる産業なのだ。なぜならネット革命のエッセンスはグローバルにつながるネットワークとそれを支える標準化技術にあるからである。
 ものづくりに強い日本はその強さを堅持しなければならないが、同時に、インターネットの世界でもグローバルに通用する競争力を身につけたい。そのために何がかけているのか。じっくり考えてみたい課題である。


2005年8月22日 日経新聞より

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