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2016年10月27日
8割が転倒の恐れ、1981年〜2000年の住宅
1981年以降に建てられた住宅、いわゆる新耐震住宅のうち、1981年から2000年の間に危険な建物があることが改めて明らかになった。日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)が8月31日に発表した調査結果によると、同期間に建てられた住宅の8割超えが大地震(数百年に一度の極めてまれな地震)の際に倒壊する恐れがある。
この調査は、木耐協が毎年データを追加・分析し発表しているものだ。調査の対象は、1950年から2000年5月までに着工された2階建て以下の木造で、在来軸組工法の住宅。同協会が実施した耐震診断の結果を集計した。
調査のベースとなった住宅は、住まい手が耐震診断を希望していることから、そもそも耐震性に不安があるような建物だったことは否めない。調査結果は多少上振れしていることも考えられる。
戸建て住宅の場合、耐震基準と呼び方の関係が少し複雑だ。1981年に建築基準法が改正されたことから、1981年より前を旧耐震、以降を新耐震として分類するのが一般的だ。
だが、木造住宅は2000年に耐震基準に関連する告示が示された。このため、1981年から2000年の間に建てられた住宅は、新耐震と呼ばれながらも、中には現行の基準である2000年基準を満たしていない住宅があるという状態だ。
日本建築学会が実施した熊本地震の悉皆調査では、1981年から2000年の住宅827棟のうち8.7%(76棟)が「倒壊・崩壊」という結果が報告されている。2000年以降に建てられた住宅(現行基準の住宅)のうち倒壊・崩壊したものが2.2%(7棟)にとどまったことと比較すると、1981年から2000年の住宅の耐震性は現行の耐震基準を下回っている可能性が高いと言わざるを得ない。
国土交通省が9月30日に発表した、熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会の報告書でも、1981年から2000年に建てられ倒壊した木造住宅の耐震性能不足について言及された。柱脚・柱頭接合金物を確認したところ、クギ打ち程度の接合仕様やクギの径や長さが不足している建物があったことを明らかにしている。
同報告書で、「2000年に明確化された仕様などに適合しないものがあることに留意し、被害の抑制に向けた取り組みが必要である」と記されたことを受け、国交省は対策を進める方針を固めた。
2016年11月号 日経ホームビルダー