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2016年6月2日

梅雨の繁殖で夏に肺炎

 梅雨は、カビが繁殖するのに絶好の季節だ。気温が上がり、ジメジメして、家の中の空気もよどみやすい。カビが原因の病気で、6〜10月頃に増えるのが、夏型過敏性肺炎だ。
 トリコスポロンという菌を吸い込むことで起こる。アレルギー性で、空せきや発熱などを繰り返し、だんだん息苦しくなる。旅行などで家を離れると症状が軽くなったり、毎年夏を中心に症状が表れたりする人は、この病気の可能性がある。風邪が治りにくいと思ったら、呼吸器内科などで原因を調べてもらった方がいい。
 治療法は、カビからの隔離に加え、ステロイド剤で炎症を鎮めるのが一般的。慢性化すると、肺が線維化して硬くなり、呼吸ができなくなる。一度壊れた肺の組織は元に戻らない。肺に十分な酸素を送るための住宅酸素療法や、重症化すると、肺移植が必要になることもある。
 毎年新たに500人ほどの患者が出るとされる。千葉大学真菌医学研究センター教授の亀井克彦さんは「しつこい夏かぜや気管支炎と診断され、知らない間に症状が進んでしまうことがある。もっと多くの患者が埋もれていると思う」と話す。患者に中年女性が目立つのは、この菌が好む台所や風呂場などで、家事をする機会が多いためとみられる。
 予防の基本は発生源を断つことだ。「命にかかわるので、ハウスクリーニングをしても症状が治まらなければ、引っ越しを進めます」と亀井さん。水回りを中心に掃除や換気をこまめに行い、清潔と乾燥を保つことが大切だ。


       2016年5月29日 読売新聞

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