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2014年4月4日
4度上昇なら環境激変 産業革命前から今世紀末で IPCC報告書
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は横浜市で開いた総会で、地域温暖化の影響について7年ぶりとなる第2作業部会の報告書を承認し、31日公表した。農業や生態系などの面で「すべての大陸と海洋で影響が表れている」と断定。18世紀半ばと比べた世界の平均気温の上昇が今世紀末に4度を超えるなら、後戻りできない環境の激変を起こしかねないと警鐘を鳴らした。
報告書は、心配される温暖化のリスクとして、食糧供給システムの崩壊や生態系の損失など八つの分野を挙げた。こうした影響が暴力的な紛争に発展する可能性にも初めて言及した。
世界の平均気温は、18世紀半ばの産業革命前から最近(1986〜2005年平均)までに約0.6度上昇。昨年秋に公表された第1作業部会の報告書では、現状のペースで温室効果ガスの排出増が続くと、今世紀末にさらに2.6〜4.8度上昇すると予測した。温室効果ガスを世界全体で大幅に減らせないと4度上昇は現実味を帯びる。
今回の報告書は、4度気温が上がると、穀物生産量が落ち込むなど世界的な食糧不足が深刻化する可能性を指摘。さらに、大規模な海面上昇を引き起こすグリーンランドや南極の氷床消失など「深刻かつ広範で不可逆な影響が起こる可能性が高まる」とした。ただ、4度未満2度以上の上昇でも、動植物などの大規模な絶滅を招く危険性を指摘。気温の上昇スピードが遅ければ生き物は過ごしやすい場所に移動できるが、予測される上昇スピードが急激すぎるため生き物の多くが今世紀後半には追いつくことができなくなるからだ。
報告書は温室効果ガスの大幅な削減が「全般的なリスクを大幅に軽減できる」と結論づけた。この日の会見でパチャウリ議長は「温暖化の影響を受けない人はいない。そのリスクは適応策と温室効果ガスの削減策で下げることができる。国際社会は行動を起こすべきだ」と訴えた。(須藤大輔)
2014年3月31日 朝日新聞