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2014年1月29日
木造校舎で学ぼう インフル防止/集中力アップ?
全国の学校で鉄筋コンクリート(RC)造から木造校舎への回帰が進んでいる。
「子供たちが落ち着く」など教育上の効果だけではなく、インフルエンザの欠席が減るといった意外な利点も注目されている。
国産木材の利用にもつながることから、政府は推進に本腰を入れる。
茨城県潮来市立潮来小学校は昨年4月改装し、まだ木の香りが残る。壁や床だけではなく柱や梁(はり)、ロッカーも木製だ。同12月下旬の2学期の授業では「はい」「分かった」と子供たちの元気な声が響いた。
6年生の久保田大陸君(12)は「木に囲まれると居心地がいい。集中力が出る気がする」と話す。
文部科学省によると、2012年度に新築・改築した公立の幼稚園と小中高、特別支援学校の校舎や体育館のうち、木造は20%を占め、11年度より5ポイント増加。
RC造であっても、半数は床や壁に木を使う設計となっている。戦前に木造が一般的だった校舎は、戦後から高度成長期にかけて耐震性を考慮して大半がRC造に建替えられた。
その後、技術の進歩で耐震性を高められるようになり、国産木材消費の機運が高まったことから、1980年代以降は木造の新築が目立ち始めた。
「木造校舎では、インフルエンザの学級閉鎖が3分の1以下」。健康面で効果があるとのデータをまとめたのは木造住宅の調査・研究に当たる公益団体法人「日本住宅・木材技術センター」(東京)だ。
一部の学校を抽出し、1年間に学級閉鎖をした学級の割合を比べると、RC造は7%だったが、木造は2%にとどまった。
文科省によると、木材には湿度の調節機能があって冬でも乾燥を防ぐことができるため、インフルエンザなどの流行を抑える効果があると考えられている。
潮来小の校長も建替えてから児童の風邪による欠席が減ったと感じるという。
さらに、木の床は衝撃を吸収するので比較的安全性が高い上に、結露しにくいので、転倒が減るとされている。
同センターの調査でも、けがが原因で保健室を利用する児童生徒がRC造よりも少ないとの結果が出た。
ただ、建設費用は割高。RC造より平均5%程度コストがかさむため、文科省は補助金を上乗せして木造を後押ししている。
2014年1月29日 日本経済新聞