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2013年11月7日

「良い住まい=長期優良」ではない

 現在、国交省では既存住宅を長期優良住宅として評価する基準に関する検討が進められている。基準がまとまれば、既存住宅を性能向上リフォームする際の、一つの“目当て”になるであろう。中古住宅市場でのリフォームを住宅の資産価値として適切に反映させるための一つの指標にもなるだろうし、大手ハウスメーカーやパワービルダーなどにとっては、メリットが大きいのではないか。
 一方で、工務店が手掛ける住宅の長期優良の認定数に関しては未だ低い水準のままだ。「性能的には基準はもちろんクリアしているが、手続きが煩雑で認定を受けていない」という声は、制度開始当初に多くの工務店から聞いた。3年経った今もその状況は変わらない。「メリットが感じられない」「施主に積極的には勧めない」という工務店は少なくない。
 例えば、長期優良や省エネ基準などに関する様々な計算ソフトが出されているが、パソコンを触るのも苦手な人がかなりの層を占めるのが、高齢化が進む工務店業界の現実だ。だがそもそも、PCスキルに長けていることや、補助金を上手く活用する能力があることと、良い住宅づくりとは何の関係もない。長期優良に認定された住宅は、もちろん“良い住宅”の一つとは言えるだろうが、「長期優良住宅に認定されていなければ“良い住宅”ではない」というわけではない。
 長期優良住宅や低炭素住宅の認定、各種助成事業の採択など、国のお墨付きを得られない住宅は、良い住宅と認められない事態が迫ってきているようにも思える。長期優良住宅制度が日本の住宅のスタンダードとなるとき、本当に良い家がこぼれ落ちてしまわないか。いま現役の工務店・大工が引退するとき、その技術や知識も失われていくことになりはしないか。事業継承と技術継承を一体的にとらえる仕組みが、政策的にも、また業界側にも求められる。そして、本当の価値を見極められる評価の在り方が、本来求められるべきだろう。
        2013年11月5日 日本住宅新聞

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