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2013年9月8日
温暖化 暴れる天気 〜「経験のない大雨」続発
世界中で頻発する極端な気象現象は、人の暮らしに影響を与え、生命をも脅かす。その原因である地球温暖化を抑えるのは簡単ではないと、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は指摘する。国際社会では、各国政府に対策を迫る新しい枠組み作りを目指して苦心の交渉が続いている。
気象庁で今月初め、臨時の異常気象分析検討会が開かれた。猛暑だった2010年以来、3年ぶりだ。
会議後の記者会見で、検討会トップの木本昌秀・東京大大気海洋研究所教授が地球温暖化への懸念を示した。「温暖化がなければ、この夏、これだけ多くの地点で最高記録を更新することはなかっただろう」
最高記録とは、気象庁の927観測点のうち、143観測点で記録された「過去最高気温」と、93地点で観測された「最も高い最低気温」のことだ。検討会では、6〜8月の平均気温は100年間で1.05度上昇したという水準であることが報告された。海面水温も極端に高く、8月中旬に日本周辺の10海域のうち5海域で過去最高を記録。北海道でクロマグロが取れたり、沖縄でサンゴが死滅したり、といった異変も起きた。
極端な多雨と少雨が混在する事態も、この夏の「異常さ」を印象づけた。7月下旬以降、島根や山口、秋田、岩手で計3回、「特別警報」の発表基準にあてはまる「経験のない大雨」が局地的に続発した。一方で6月の北海道・東北の太平洋側と、7月の九州南部・奄美では、月の降水量が過去最少になった。
こうした多雨と少雨の両極化も、温暖化とともに進むと言われる。気象庁の説明はこうだ。
温暖化に伴う気温の上昇で、大気が抱えていられる水蒸気量(飽和水蒸気量)は増える。海面水温も上昇し、蒸発量も増える。飽和水蒸気量の増え方の方が大きいため、雨の頻度は減る一方で、1回当たりの降雨は激しくなる。また、積乱雲も巨大化しやすくなる。突発的な「ゲリラ豪雨」や雷、竜巻が増える恐れもある−という。
異常気象は日本のみならず世界で頻発している。
気症状は「30年に1度あるかないか」という高温や低温、多雨、少雨を異常気象と位置づけている。世界気象機関加盟国の観測データ(月平均)をもとに同庁がまとめたところ、今年1〜7月は計72件に上った。
世界のどこかで月10件程度は「30年に1度」の現象がある。例えば6月はアラスカや中国南部など5地域で異常な高温を観測するなど、11の地域で異常気象や気象災害があった。
インドでは6月中旬、北西部のウッタラカンド州デラドゥーンで大雨となり、洪水などで560人が死亡。これを含めインド全体で658人の死亡が確認された。欧州も5〜6月に各地で大雨となった。5月のドイツ降水量は1881年以降で2位。チェコでは非常事態宣言が出されて2万人以上が避難。チェコ、ドイツ、オーストリアで計18人の死亡が確認された。
中国南部は7月、平年より気温が高く、降水量は少なかった。米国オクラホマ州では5月、竜巻がたびたび発生、40人以上の死亡が伝えられた。ロシア北部のオレニョクでは5月の平均気温が平年より7.9度も高かった。
2013円9月8日 朝日新聞