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2013年9月8日
業者、今も補助金PR 〜メーターで節電?あきれる被災者〜
復興予算流用 経産省、在庫分黙秘
「復興流用基金」を安倍政権が見直してから2カ月。根本匠復興相も7月に「しっかりと使途を厳格化した」と明言していたが、抜け道はまだあった。
節電メーターに最大10万円の補助金を出す「エネルギー管理システム導入促進事業」は、2011年11月に復興予算から300億円が割り当てられた。
今年3月末までに使ったのは23億円。7月2日、経済産業省は248億円が「実質上、執行済み」と発表、国庫に戻したのはわずか52億円だった。3カ月間で「執行済み」の額が11倍に膨らんだのは「実質上」のあいまいさにある。
返還の発表直後、返還額の算定方法を経産省・資源エネルギー庁省エネルギー対策課に尋ねた。「関係する全業者に、補助制度を前提として契約がどれだけあるかヒアリングした。(これから売れる数の)推計は入っておらず、契約済みのものを足しあげた」と明言した。
ところが、企業はその後も、補助金による割引を宣伝文句にして節電機器を売り続けている。
「この夏の節電は補助金でお得に!」。節電メーターを売るNTT東日本は7月6日、こう題したメールを自社サービスの会員に一斉送信した。4万2千円の「お手軽パック」が、補助金を得れば自己負担額が2千円になると売り込む。
8月下旬、東京都港区のパナソニックのショールームでは、節電メーターを説明するボードに「補助金対象品」と書かれていた。同社広報は「補助金制度が終了するまで、従来通り営業活動を続ける」と話す。基金を管理する社団法人「環境共創イニシアチブ」も、補助金の申請は「来年1月31日の消印まで有効」という。9月に改めて省エネ対策課に尋ねると、説明が変わった。「補助金制度を前提に契約済みと、契約一歩手前のものを足した。一歩手前をどう線引きするかは難しいが、業者は売れる見込みが全然ないものは発注しないだろう」と話し、業者側へ厳格な確認はしておらず、在庫分でも問題視しない認識を示した。
事業の目的はそもそも「電力不足で被災地の復興に支障を来さないよう日本全体で電力の負荷を下げるため」(省エネ対策課)だった。元会計検査院局長の有川博・日本大教授は「経産省は急な政策転換による業界の混乱を防ぐ名目で事業を継続しているようだが、本来は1円でも多く被災地にまわすべき予算。復興の為と思っていた納税者の理解は得られない」と話す。(後略)
2013円9月8日 朝日新聞