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2013年3月4日

補助金まみれの住宅行政、もうやめにして

多様な声を拾い、国に物申して

 咋年「地域型住宅ブランド化事業」に取り組みましたが、補助金が下りるまでの期間が長過ぎて、工務店にとってはお金のやりくりが楽ではありません。また、手続きが手間でスケジュールもタイトなので、夜中書類を整えていると「いったい何をやっているのだろう」と我に返ることがあります。
 グループ事務局の建材店がサポートをしてくれましたが、この労力を他のことに向けたいと思い、今年から国の補助金を一切使わないことに決めました。
「使わない」と割り切って考えてみると、国が補助金を通じて家づくりを誘導していくのは正しいことなのか、という気がしてきました。どうしても手段と目的が逆転してしまうからです。
 自分たちが考える「いい家」をさらに進化させるために使える補助金があるなら話は別かもしれません。ですが実際は、補助金をもらうために、家づくりを実際にやったことのないお役人さんや学者さんが考えた基準に、自分たちの家づくりを合わせる必要がある。これはおかしなことで、本末転倒ではないか。そういう思いが強くなっています。
 もう補助金まみれの住宅行政はやめにしませんか―。.我々工務店が勇気を出して国や地方にそう言っていくときではないでしょうか。
 お客さんの負担を少しでも減らしたいという気持ちは、どの工務店でも同じだと思います。予算が厳しくなっているので、もちろん私も同じ思いをもっています。ですが、補助金をもらうための仕様の変更、勉強会に参加する時間、書類作成の手問、申請費用などの負担を考えると、結局は「とんとん」な気がします(長期優良住宅には税優遇のメリットもありますが、あれもおかしな制度だと思います。お金に余裕がない人の税金を優遇するのが本来ではないでしょうか)。
 また、無料で行われる様々な講習会も、その費用は国民の税金で、さらには無料のせいなのか、内容が役に立たないせいなのか、寝ている人がたくさんいます(建築士資格の定期講習も無駄のひとつではないでしょうか。たくさんの人が寝ていますので)。
 コストを下げるということで言えば、規制をゆるくしたり撤廃したり、申請などの手間を削減するほうが、効果は大きいと思います。

メデイアも勇気をもって
 業界メディアも「補助金まみれ行政」をあおっている気がします。国の監視をすることもメディアの役割のひとつだと思いますが、ただ国の情報を右から左へと流しているだけ。そしておトクですよ、使わないとバカですよ、とあおっているように見える。それを読むと、使わないと決めた私でも焦りにも似た気持ちがわいてきます。
 新建ハウジングは真面目な新聞だとは思います。だからこそ、国を監視し、法律や行政のあり方に苦言を呈するような勇気を、気概を持ってほしい。残念ながら、そんな記事は見ることができません。逆にそこまでやれば、真に工務店の応援紙だと思いますし、もっと応援されるようになるでしょう。
 今回、こんなことを言いながら、「掲載するなら匿名で」とお願いする自分を情けなく思います。ですが、名前を出して自分の言いたいことを言える人は強い人だけ。そして国も、メディアも、強い人の声に傾きがちです。
 そうでない人間の言葉も拾って下さい。メディアに顔と名前を出してまで、国やメディアに物を言える人はほとんどいないはずです。新建ハウジングはそういう声を拾っていくメディアであってほしい。期待しています。
        東北の工務店経営者(年商3億円前後) 
        新建ハウジング+1 2013年3月号
 

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