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2012年10月17日
独電気代 年1万円値上げ〜脱原発 再生エネ コスト上乗せ〜
ドイツで、再生可能エネルギー普及のため消費者が負担している賦課金が、来年から約50%引き上げられることになった。大幅値上げに野党は強く反発しており、来年秋の連邦議会選挙に向けて脱原発と再生可能エネルギー普及に伴うコスト増間題が争点となりそうだ。
大手送電会社が15日発表したところによると、賦課金額は、これまでの1キロ・ワット時当たり3.59セント(約4円)から5・28セント(約5円) に引き上げられる。年間電力消費量が3500キロ・ワット時の標準世帯の年間の賦課金負担は、125ユーロ(約1万2800円)から185ユーロ(約1万8900円)になる。DPA通信によると、発電、送電コストにこの賦課金や環境税などを加えると、標準世帯が払う電気料金は、現在の年約900ユーロ(約9万1800円)から約1000ユーロ(約10万2000円)になる。
メルケル首相は、「電気料金は支払い可能な範囲にとどめるよう、最善を尽くす」と繰り返してきた。しかし、15日の発表で大幅値上げが不可避となったことを受け、野党の緑の党などは「企業に対する賦課金の減免措置を縮小すれば一般国民の負担を減らすことができる」などと主張し、連邦議会選挙に向けて争点にする構えを見せている。
ドイツでは、再生可能エネルギーによる電気を一定の価格で一定期間、事業者が買い取ることを義務付ける固定価格買い取り制度が導入されている。事業者の負担分は賦課金の形で電気料金に上乗せされ、消費者が負担する。
賦課金高騰の背景には、買い取り価格が特に高い太陽光発電の施設建設が進むのに従い、電気事業者が買い取りに要する費用が膨らんでいることがある。
買い取り総額は、2005年に44億ユーロ(約4500億円)だったのが、11年には164億ユーロ(約1兆6700億円)に増大した。
ドイツの家庭向け電気料金は現在、経済協力開発機構(OECD)加盟国でデンマークに次ぐ2番目の高さで、日本と比べて3割以上高い。
再生可能エネルギーの普及を図るには高圧送電線建設なども必要で、脱原発、再生可能エネルギー普及にかかるコストは、30年までにドイツの国家予算も上回る3350億ユーロ(約34兆1700億円)になるとの試算もある。 【べルリン=三好範英】
2012年10月17日 読売新聞