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2012年6月24日
住宅全壊「切り土」の26倍
東日本大震災で震度6クラスの揺れが襲った仙台市の造成宅地で、斜面に土を盛って平らに整地した「盛り土」地盤に立つ住宅が全壊した割合は、斜面を切り崩してならした「切り土」の住宅の26倍超に及んだことが分かった。東北大の森友宏助教(地盤工学)らが調べた。
盛り土部分は切り土より軟弱で、沈下しやすいと森助教は分析。地盤改良は可能だが、家を建てた後では難しい工事が多く費用も高くなるといい、「ほかの団地の調査結果も精査し、効果的な対策を考えたい」としている。
森助教らは昨年4〜5月、1960年代に造成が始まった仙台市の南光台団地(泉区)と鶴ケ谷団地(宮城野区)を調査。住宅の外観から損傷程度を判定した。
南光台団地では家屋約6500棟のうち48棟が全壊。全壊家屋のうち34棟が盛り土、13棟が盛り土と切り土の境界(切盛境界)、1棟が切り土に立っていた。同じ面積当たりで比較すると、盛り土の全壊割合は切り土の26.46倍、切盛境界は25.68倍になるという。鶴ケ谷団地では、盛り土部分の全壊24棟、切盛境界17棟に対し、切り土ではゼロだった。
南光台団地で全半壊した原因の約8割は、地盤が不均一に沈む「不同沈下」や、地盤の亀裂によるもので、地震が直接の原因となったのは一部にとどまった。市内の別の造成宅地では、家屋が傾いたが、建物には変形のないケースもあったという。
森助教によると、切り土や盛り土など造成宅地の地盤の種類を知るには、仙台市のように自治体が公開しているケースがあるほか、造成前後の地図で等高線の変化を見比べる方法がある。
平成24年6月23日 日本経済新聞(夕刊)