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2011年12月24日
太陽電池材料の価格20分の1 色・形自在の次世代型 ―田中貴金属 国内初の量産―
田中貴金属工業は色や形状が自在の次世代太陽光電池に使う貴金属色素を量産し、2013年に販売を始める。強みを持つ貴金属のリサイクル技術を組み合わせ、価格を1グラム1万円以下と現在の国際相場の20分の1に下げる。国内の太陽電池メーカーは欧米・中国勢との価格競争に苦しんでおり、次世代型を低コストで投入できれば競争力の向上につながりそうだ。
量産するのは貴金属のルテニウムを使う粉末状の色素。太陽エネルギーを電気に変える効率が11.4%と世界最高の水準にある台湾中央大学の技術を独占的に利用する。筑波事業所(茨城県つくば市)に約3億円を投じて年産1トンの設備を導入し、15年に年3億円の売り上げを目指す。
貴金属色素を使い発電する太陽電池は、現在主流のシリコンを材料とする電池より変換効率が低い。一方、製造コストが安く、薄く曲げられるシート状にすることができる。弱い光でも発電するため、建物の壁面や室内の家具などに張ることも可能。国内の太陽電池メーカーが商品化を競っている。
現在、原料の色素を量産するのはスイスとオーストラリアの2社に限られており、量産は国内で初めてとしている。田中貴金属はハードディスク材料のリサイクル技術などを応用し、低コスト生産を実現した。
平成23年12月24日 日経新聞(夕刊)