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2011年8月2日
黄砂で脳梗塞リスク上昇 ―九大など調査 重症型は1.5倍に―
黄砂が中国大陸から飛んでくると、脳梗塞を発祥させるリスクが高まることを九州大学の北園孝成教授と国立環境研究所のグループが突き止めた。脳の太い血管が詰まって言語障害や手足のマヒを招く重症のタイプに限ると、発症リスクが1.5倍になる。飲酒や喫煙の習慣を伴う人は、リスクがそれぞれ2.5倍、2倍だった。黄砂が健康に深刻な影響を及ぼしている実態が浮き彫りになった。
京都市で開催中の日本脳卒中学会で31日に発表する。北園教授らは1999年6月〜2009年3月、福岡県の基幹7病院に脳梗塞で運ばれた救急患者6352人について調査。気象庁のデータから、黄砂の飛来した日との関係をつき合わせたところ、脳梗塞の急患は、黄砂が飛んでいない時期に比べ、前3日間に黄砂が観測されると7.5%増えた。
黄砂には直径4マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルほどの微粒子が多く含まれ、肺の奥に入り込む。黄砂に含まれる汚染物質や微生物によって過剰な免疫反応が起こり、血管の内側についた脂肪の塊がはがれて脳梗塞を招くと考えられている。浮遊粒子状物質(SPM)と呼ぶ大気汚染物質の濃度が高くなるほど、発症リスクは上昇した。北園教授は「動脈硬化が進んでいると発症しやすくなる。黄砂の日は外出を控えた方がよい」と話している。
黄砂の健康影響については、京都大学などのグループが小児ぜんそくの発作の危険性が高くなると報告。欧米でも心筋梗塞が増えるとの指摘がある。
平成23年7月31日 日本経済新聞(朝刊)