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2011年5月24日
人気のLED電球 ―用途に見合った商品を―
東日本大震災後、省エネ効果が大きく、長く使える発光ダイオード(LED)電球の販売量が急増している。しかし、LEDは光の照らす範囲が狭いなど、白熱電球との違いに戸惑う人も少なくない。
日本電球工業会によると、2010年のLED電球の出荷量は1000万個で、白熱電球8800万個や電球形蛍光管3500万個に水をあけられていた。だが、調査会社GfKジャパンが4月に家電量販店での販売量を調べたところ、LEDのシェアは白熱電球49%に次ぐ30%に達し、初めて電球形蛍光管22%を抜いた。安いものでは1000円程度と、お手頃価格になってきたことも背景にある。
ただ、本紙には「真下は明るくても周囲は今一つ」「ソケット付近が高温になる」などLEDの特性を知らずに買う人が多いとする投書が寄せられた。国民生活センターにも同様の声が多数届いているという。実際、同工業会のデータでは、60ワットの標準的な白熱電球とLED(90度〜180度の準全般配光)を比べ、電球の中心から下方向に出る光はともに413ルーメン(光の量を表す単位)だったが、周囲を含む全体光量は、白熱810ルーメンに対し、LEDは472ルーメンだった。
メーカーがLEDを出荷する際、下方の光量に基づき「60ワット相当」などと表示することも、消費者の誤解を招く一因だった。同工業会は表示をルーメンに統一する指針を作り、全体光量も示すようメーカーを指導している。LEDの技術革新も進み、最近は全体の光量が増した商品や、白熱電球並みに広い範囲(300度)を照らす商品も登場した。メーカーのパンフレットには商品のタイプや光量の説明が盛り込まれるようになったが、「一般の人はルーメンなんて知らない。ワットで表示してほしい」と訴える販売店もある。
千葉商科大の山本恭裕教授(商品学)は「メーカーは、用途に合う商品をもっと明確に表示すべきだ」とした上で、「消費者も『省エネ』にひかれて買うと、失敗しがち。店頭で用途や光量をきちんと聞いた方がいい」とアドバイスする。
平成23年5月23日 読売新聞 朝刊