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2008年9月22日
ぜんそく、秋に多発 発作の誘因重なる
秋はぜんそくの季節である。発作は季節を問わずに起きるが、特に九月後半から十月にかけて苦しむ人が非常に多い。筆者も小児ぜんそくの経験があり、秋に発作が多かったのを思い出す。
ぜんそく患者は世界に約三億人いる。厚生労働省の調査によると、日本の患者数はおよそ二百三十万人で、毎年三千人以上がぜんそくが原因で死亡している。
ぜんそくはアレルギーや細菌の感染によって、気管支が慢性的な炎症を起こした状態である。花粉やハウスダストによるアレルギー、細菌やウイルス、たばこなどの刺激、アルコール、運動および過労、ストレス、気温の低下など様々な原因で起きる。
これが引き金となり、せきやぜんそくが突然激しくなるのが発作である。秋にぜんそくの発作が多発するのはアレルギー性のぜんそくが多くなるためである。
今の季節、アレルギーの原因物質であるアレルゲンの多くはハウスダストに由来する。家のほこりやちりをイメージしがちだが、医学でいうハウスダストは目に見えない細かい粒子を指し、この中に多くのアレルゲンを含む。
夏の間に家屋で繁殖したダニは、毎年気温の低下する九月末から活動が鈍り、死亡したダニの死骸のかけらがハウスダストになる。これを吸い込むことによってぜんそくの発作が多発する。
気象も発作に大きく関係している。九月後半になると朝晩の気温が低くなる。短時間に気温が三度前後下がる場合にぜんそくが多発することはよく知られている。
さらに、「逆転層」が発生すると発作の頻度は二倍以上になる。逆転層とは、上空の気温より地上付近の気温が低くなることで、地上付近の大気汚染物質が上空に拡散しなくなる。つまり、この時期には気温の低下と大気汚染の悪化が同時に起きるのである。
また、秋は天気の変化が早く、気温変動が大きくなる。特に雨の日は昼間の気温が朝より低くなる場合があり、体のリズムが崩れて発作につながることが多い。
2008年9月21日 日経新聞より