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2007年7月8日

最高裁判決 欠陥住宅 施工業者も責任 安全性欠けば賠償

 欠陥住宅の購入者が、売り主にではなく施工業者に直接、損害賠償を求めることができるかどうかが争われた訴訟の上告審判決が6日、最高裁第2小法廷であった。今井功裁判長は「建物の基礎や構造にかかわるような重大な欠陥でなくても、施工業者が賠償責任を負う場合がある」との初判断を示し、購入者側の請求を棄却した2審判決を破棄。欠陥の程度を審理し直させるため、福岡高裁に差し戻した。
 欠陥住宅の売り主は購入者に対し賠償義務を負うが、売り主から建設を請け負った施工業者の賠償責任については、重大な欠陥がある場合だけに限って認める裁判例が多かった。購入者側の救済範囲を広げたこの日の判決は、大きな影響を与えそうだ。
 訴えていたのは、大分県別府市の9階建て新築ビルを購入した親子。
 判決によると、親子は1990年、売り主の男性から約5億6200万円で土地と建物を購入。賃貸マンションとして利用し、親子も94年から入居したが、「建物に亀裂や水漏れ、バルコニーの手すりのぐらつきがある」などとして、建設会社に建て替えを求めた。しかし、拒否されたため、建設会社と設計事務所に補修費用など計5億2500万円の支払いを求めた。
 今井裁判長はまず、「設計者や施工業者は、契約関係にない居住者に対しても、建物の安全性を配慮する義務がある」とし、「建物の基本的な安全性を損なうような欠陥がある場合は賠償責任を負う」と述べた。
 建物の安全性を損なう欠陥については、「バルコニーの手すりがぐらついて居住者が転落する危険があるような場合も含まれる」と範囲を広げ、建物の基礎や構造などの重大な欠陥に限らないとの判断基準を示した。
 1審・大分地裁判決は、建設会社と設計事務所に計約7400万円の支払いを命じたが、2審は「欠陥は建物が倒壊するような危険なものでない」として、請求を棄却していた。


〔読売新聞〕2007年(平成19年)7月7日

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