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2018年7月6日

加湿器の菌対策 強化

   消毒や手入れが不十分な入浴施設や加湿器を利用することで感染するレジオネラ症の患者が増えていることを受け、厚生労働省は8月をめどに指針を改正し、加湿器の清掃や維持管理法などの対策を強化する。高齢者施設では加湿器を使った利用者が死亡するケースも発生し、衛生上の対策が課題となっている。
 レジオネラ症は呼吸器系の感染症。1年を通じて感染が報告されているが、特に梅雨前後
や7月に多い。土や川の水など自然界に存在するレジオネラ菌が、清掃や消毒が不十分な入浴施設の循環式浴槽や給湯器の水の中で繁殖し、それを吸い込むことで感染する。高熱や肺炎などを引き起こし、特に高齢者は重症化しやすい。
 レジオネラ菌は60度以上で死滅する。塩素系洗剤によるこまめな手入れや消毒などでも繁殖は防げるが、水を熱さない超音波式加湿器は手入れが不十分だと菌が繁殖しやすい。
 厚労省はレジオネラ症を予防するため、福祉施設などで入浴設備や空調設備の消毒などの管理方法について指針を設けている。
 だが最近では加湿器の使用による感染報告者が増加。2017年末から18年1月にかけて、大分県の高齢者施設で80〜90代の男性が3人感染し、そのうち1人が死亡。県の立ち入り検査で患者の部屋に置かれた加湿器が超音波式だったと判明した。
 こうした問題を受け、厚労省は新たに指針を改正。加湿器のタンク内に発生する生物膜の除去のほか、定期的な点検や清掃、水の交換の徹底などを盛り込む。改正した指針は都道府県を通じて福祉施設なのに示し、管理の徹底を求める。
 国立感染研究所によると、17年の患者数は1722人。1999年に感染症法に基づく調査を開始して以降、最多だった。
 増加の原因ははっきりしないが、厚労省の担当者は「検査が保険適用になり診断しやすくなった」と分析する。海外の論文では高齢化が一因と指摘する専門家もいる。

              2018年7月6日 日本経済新聞

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