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2016年7月7日
65歳以上5割超 足腰に衰え
熊本地震で震度7を2度観測した熊本県益城町で避難所生活を送る65歳以上のお年寄りのうち、歩いたり床から起き上がったりといった日常生活が不自由になったと感じている人は5割超に上った。朝日新聞が専門家の協力を得て、地震発生から約2ヶ月の時点で調査。避難所生活の影響で生活不活発病に陥っている疑いがあり、専門家は対策を呼びかけている。
調査は6月13日〜17日に実施。生活不活発病の専門家である産業技術総合研究所招聘研究員の大川弥生医師が質問設定や分析をした。益城町の総合体育館や小学校、公民館などの避難所6カ所で、要介護・要支援認定を受けている人や身体障害のある人は除き、101人から聞き取った。
101人のうち、地震前に比べて「歩くことが難しくなった」と答えた人は41人、「身の回りの動作が難しくなった」も41人で、いずれかに該当する人は57人と56%だった。大川医師は、この57人に生活不活発病の疑いがあると分析した。
57人のうち、38人は地震前に取り組んでいた仕事や趣味などの活動をしなくなり、44人は「日中に体を動かすことが減った」と答えた。避難所で動かない時間が増え、足腰が衰えるなど身体機能が低下した傾向がうかがえる。避難所周辺の道が修繕されていないため、「転ぶと危険なので歩けない」という人もいた。
日常生活に支障がないとした44人の中でも、仕事や趣味の活動をしなくなった人が23人いた。
益城町では今月3日現在、14の避難所で1849人が避難生活を送っている。仮設住宅は8月中旬までに12カ所1285戸が整備される予定だが、避難生活は長期化している。
大川医師は「仮設住宅などに移ったあとも不活発な状況が続くと、さらに心身機能を低下させ、将来的には要介護状態に発展する可能性もある。地震から生き延びた方々が元気で充実した生活を送るためには、頭や体を動かす機会を増やす環境づくりが大切だ」と指摘している。
2016年7月5日 朝日新聞